幼稚園や小学校の低学年までは比較的親のいうことをよく聞いていたのに、最近は全く聞いてくれない、となげくお母さんがたくさんいます。

親とは別の人格で生まれてくるので親の思い通りにならないのは当然なのです。

それでも幼いときまでは、お父さんやお母さんのいうことが子供の全てでしたから、素直に親の言いなりになっていました。

それが、成長して周りの世界が広がってくると、自我が目覚め、親と同じことや親に決められたことばかりをするのを嫌がります。

いくらお母さんがバレエを習わせたくてお教室に入れても、本人がつまらないと思えば続けることはできません。

せっかく必要なグッズも買ったのに、と思っているのもつかの間、ダンス教室にお友達と通いたいと言い出し、「今度はちゃんと続けるのよ」と約束したのに、また行きたくないと言い出してついにダンス教室もやめてしまった親子がいました。

子供がやめたいといえばやめさせるという、やや甘めな親ではありますが、お母さんが子供のときにバレエを習いたかったけれど叶わなかったこと、ダンスも続くのかな?との心配が適中してやっぱりやめてしまうこと、どちらも親の気持ちと子供の気持ちがすれ違っています。

中学校に入学して初めての部活選びの際には、「あなたは運動オンチだから美術部にしておきなさい」という親と、「バドミントン部に入りたい」という子供がいました。

結局親の思うとおりにはならず、(中学生なので当たり前と言えば当たり前ですが)バドミントン部に入部しましたが、なかなか上達せず、レギュラー入りはできません。

子供だってバドミントンが上手になって試合に出られることを夢に見て入部したに違いありません。

自分で体験して得た結果がどうであろうと、自分で決めたことですから納得がいくことになります。

もし、本当はバドミントン部に入りたかったのに、親の言うとおりに美術部に入っていたら、それなりに頑張っていい作品を作るかもしれませんが、自分で選んだわけではないので後悔が残ることでしょう。

何でも自分で決めたことには、たとえどんな結果になっても納得できますが、他人によって選ばれたことには結果が悪ければその他人のせいだと思ってしまいます。

私たち親は自分の子供には輝かしい未来が約束されていると思っています。

ですから、挫折しそうな、失敗しそうな事柄にははじめから関わらないように子供に回避させようとします。

親はこれまでの経験値や子供の素質から、「こうしたほうがいいよ」と提案するのですが、子供は経験していることではないので実感できず、「そらみたことか」という失敗をします。

親は子供を心配するあまり、何でも最短コースで楽なコースを提案します。

そっちのほうがお得だと思うからです。

でも子供には子供でやりたいことがあり、または心配されるようなことにはならず、成功するかもしれないと希望も持っているので親のいうことだけでは聞けないわけです。